2025年10月24日、「国民の母」と慕われたシリキット王太后が逝去され、タイ全土が深い悲しみに包まれました。

その偉大なる功績や様々な慈善活動に尊敬の念を抱くとともに、謹んで哀悼の意を表します。

晩年療養生活に入られて以降は表舞台から遠ざかり、

私は2023年からタイに住んでいますが、恥ずかしながら逝去されてはじめてその存在の大きさを知りました。

逝去に伴い、2025年10月25日から服喪期間として、国民に対し90日間(公務員は1年間)、黒または落ち着いた色の服装の着用が推奨されました。(目安となる色もアナウンスされています)

以降、たちまちお店のディスプレイは黒い服になり、街でも8-9割の人が黒や落ち着いた色の服を着ていました。

私はタイで会社員をしていますが、会社のホームページは白黒になり、出張者に対しても国民感情に配慮した服装・行動をとるようアナウンスがされました。

日本でも「喪中」はありますが、服装というかたちで、国全体で故人を偲ぶ姿に個人的にとても感銘を受けました。

タイに住まわせてもらっている外国人としても、個人的な哀悼の意からも、私も黒が着たくて黒を着ました。

シリキット元王妃はロイヤルファミリーきってのファッショニスタとして知られており、「アジアのジャッキー・ケネディ」とも称されたそうです。

夫である故プミポン前国王ととも1950年代から1960年代にかけて世界各国を公式訪問され、その優雅な姿とファッションセンスで世界のメディアを魅了。

当時の写真をいくつか拝見することができますが、とても素敵です。

私はただの服が好きなお仕立てジャーニーですが、

戦後の王室に華やかさと優雅さをもたらした、というファッションの力にどうしても感動してしまいます。

今ではタイの名物やお土産として有名なタイシルクですが、

20世紀半ば機械での大量生産の普及で、伝統的な手織りシルクが衰退の危機に瀕していたそうです。

1955年、東北地方を訪問したシリキット王太后がその素晴らしさに気付き、伝統を絶やさないよう、のちに伝統工芸品の保護・発展と雇用創出を目的とした「SUPPORT財団」を設立しました。

それがタイシルクの品質向上と産業の活性化に大きな役割を果たしたと知り、

いつかしてみたいと思っていた

タイシルクのお仕立てをするのは

今しかない!

と、タイシルクを買いに走ったのでした。

次回:はじめてのタイシルク購入 につづく